この世界は広すぎた——『紅の砂漠』と、参加できなかった私

新作の体験

「参加する物語」を求めて

このブログのテーマは、ゲームという体験を「参加する物語」として語ることです。

プレイヤーが能動的に動き、選択し、感じることで初めて完成する物語。映画や小説とは違う、ゲームだけが持つその固有の価値を伝えたくて、私はここに書いています。

だから今回の記事は、少し告白めいた内容になります。

『紅の砂漠』——私はこのゲームに、参加できなかった

50時間プレイして、メインストーリーの進捗は57%。クリアを諦めました。

それでもこの作品について書くのは、「参加できなかった」という体験そのものが、ゲームという表現の本質に触れていると思うからです。

数年越しの期待

『紅の砂漠』が最初に発表されたのは2020年のことです。韓国の開発会社Pearl Abyssが手がけるオープンワールドアクションアドベンチャー。発売は何度も延期を繰り返し、ようやく2026年3月20日にリリースされました。

私はPearl Abyssの前作『黒い砂漠』は未プレイでした。だから先入観はありませんでした。純粋に、トレーラーで見た映像の美しさと、オープンワールドへの期待だけを抱えてPS5のボタンを押しました。

正直に言えば、最初の印象は「期待より少し小さかった」。

でも、それは序章に過ぎませんでした。

世界の質と量、それは圧倒的だった

しばらく遊んで気づきました。このゲームの世界は、見るものではなく、歩くものだ、と。

ファイウェル大陸の広大さは、これまで私がプレイしてきた多くのオープンワールドゲームの中でも別格でした。質と量、どちらの意味でも。

山の稜線に沈む夕日、苔むした古代遺跡の回廊、砂嵐が吹き荒れる荒野。どこへ行っても風景が「作られたもの」に見えません。世界が生きている、という感覚があります。

そしてサイドコンテンツの物量たるや。終わりが見えない。文字通り、見えない。ハマった人が何百時間でも遊び続けられる理由が、歩くたびに理解できました。

ただ、その広大さは同時に、私を途方に暮れさせました。

跳ね返された、という感覚

参加する物語には、入口が必要だ。どんなに豊かな世界でも、プレイヤーがそこに入り込めなければ、それは観客席から見る舞台と変わらない。
巨大な石門の前に立つ旅人

『紅の砂漠』の入口は、険しかった。

操作性の独特さ。 最初はひどく戸惑います。遊び続ければ慣れてくる——それは事実です。しかし「慣れるまで我慢する」というコストを、すべてのプレイヤーが払えるわけではありません。

ゲーム進行の導線の弱さ。 次に何をすればいいのか、どこへ行けばいいのか、わからなくなる場面が頻繁にありました。オープンワールドの自由度とは違う、単純な「不親切さ」です。これが私がメインストーリーのクリアを断念した主な原因でした。

日本語音声がない。 これは想像以上に大きかった。字幕を読みながら戦闘を操作する。世界に没入しようとする意識が、常に分断される感覚がありました。

UIと操作工程の多さ。 例えば、重要な情報が書かれた日記を見つけたとします。拾う。鞄にしまわれる。鞄から取り出す。手に持つ。開く。ページを読む。次のページへ。読み終わったら鞄の容量を圧迫するので売るか捨てるか——。

ひとつひとつの行動に操作を要求するこの設計は、リアリティの追求なのでしょう。それを肯定的に受け取れる方には、このゲームは深く魅力的に映るはずです。しかし私には、世界への没入を妨げる壁として機能してしまいました。

それでも、可能性は本物だ

クリアを諦めた、と書きました。だが誤解しないでほしい。

『紅の砂漠』が物凄い可能性を秘めた作品であることは、疑いようがありません。

発売から現在まで、毎週のように実施されているアップデートは、単なるバグ修正ではありません。ゲームプレイそのものを変えてくる規模のものが続いています。難易度設定の追加、操作性の改善、UI周りの整備——この速度と量でどうやって実現しているのか、開発チームの本気が伝わってきます。

販売本数は発売から一ヶ月足らずで500万本を突破しました。Steamのレビューは「非常に好評」。世界はこの作品を、確かに受け入れています。

私が跳ね返された壁は、今もアップデートで削られ続けています。

1年後の約束

「1年後に再プレイしたら、別のゲームになっているかもしれない」

これは負け惜しみではありません。本当にそう思っています。

このブログのテーマは「参加する物語」です。私はまだ、ファイウェルという世界の物語に参加できていません。

でも、いつかそこへ戻る日を、私はまだ待っています。

ファイウェル大陸の広大な風景

世界は広すぎた。だから、もう一度行く価値がある。


プレイ環境:PS5 / プレイ時間:約50時間 / メインストーリー進捗:57%(中盤)

※本記事執筆時点(2026年4月)の情報をもとにしています。アップデートにより、現在の仕様と異なる場合があります。

コメント