ゲームで、声を出して泣いたことがありますか
私はあります。
うたわれるもの3作目「二人の白皇」のある場面で、コントローラーを持ったまま動けなくなり、声を出して泣きました。
どんな場面なのかは書きません。ただ、それが起きるまでに3部作分の時間をかけて積み上がったものがあって、それが一瞬で溢れ出した瞬間でした。あの感覚を、誰かに伝えたくてこの記事を書いています。

うたわれるものとは何か
未プレイの方のために、ごく簡単に説明します。
「うたわれるもの」は、AQUAPLUSが制作した和風ファンタジーのシミュレーションRPGです。現代の言葉で例えるなら、異世界モノに近い世界観です。厳密には違いますが、「知らない世界に迷い込んだ男が、その世界で生きていく」という構造は、今の読者にも馴染みやすいと思います。
ジャンルはシミュレーションRPGですが、戦闘よりもビジュアルノベル的な読み物としての比重が大きく、物語と台詞を楽しむ作品です。
1作目「うたわれるもの 散りゆく者への子守唄」(原作2002年)、2作目「偽りの仮面」(2015年)、3作目「二人の白皇」(2016年)の3部作で構成されています。
世に出てから20年以上が経ちます。同じような世界観を持つライトノベルやアニメをその後いくつも見てきましたが、うたわれるものシリーズの完成度の高さは、今改めて考えてもよく作られていると思います。
入り口は、アニメだった
私がこのシリーズに入ったのは、アニメがきっかけです。
「偽りの仮面」のアニメを観たとき、1作目の存在は知っていました。ただ、アニメもゲームも未履修のまま、なんとなく気になっていたシリーズでした。
観始めたら、止まらなくなりました。ぼんやりした主人公ハクが、気づいたら好きになっていました。クオンの存在感が好きでした。作り込まれた世界観が好きでした。そして何より、続きが気になって気になって仕方がなかった。
3作目の発売を待ちきれず、ゲームの2作目を先に遊びました。2作目は全体として見ると3に向けた溜めという印象でしたが、最後の幕引きが強烈で、「続きをすぐに読みたい」という渇望を確実に植え付けてくる。続編への橋渡しとして、見事な役割を果たしていました。
そしてPSVitaでPSP版PORTABLEを遊び、1作目へと遡りました。アニメの2から入り、ゲームの2、アニメの1、ゲームの1という逆走です。
1作目は、それ単体で傑作だった
逆順で辿り着いた1作目「散りゆく者への子守唄」は、1本のゲームとして完全に完結していました。
記憶を失った男が、仮面をつけて生き、愛され、そして最後に——。副題の「子守唄」という言葉の重さが、クリア後にじわじわと体に染み込んでくる。これ単体で、紛れもない名作だ。そう確信しました。
1作目だけで完結しても、何の問題もない傑作です。
それでも、3作目が来た
だからこそ、「二人の白皇」への期待は異常なほど高かった。
完成された1作目があって、3への渇望を植え付けた2があって、その先に何が来るのか。続編に裏切られることがどれほど多いか、ゲームファンなら誰でも知っているはずです。
でも、裏切られませんでした。
「二人の白皇」は最初から最後まで、泣かされ続けました。喜びの涙も、悲しみの涙も、理由のよくわからない涙も、全部ありました。そしてあの場面で、声を出して泣いた。
感動の総量で言えば、私がこれまで遊んできた全てのゲームの中で1・2を争います。

1作目から入った人に、聞いてみたいことがある
ひとつ、正直な疑問があります。
2作目・3作目の主人公は完全にハクに代わります。1作目のキャラクターたちはプレイアブルではなく、強キャラとして物語を支える側に回ります。格を落とすことなく、最後まで存在感を保ち続けていました。それは確かです。
でも、1作目をリアルタイムで遊んで深く愛した人にとって、2・3はどう映ったのか。
2から入った私には判断できません。1作目が傑作であればあるほど、続編が「余計だった」と感じる可能性もゼロではない。それが気になっています。1からプレイしたという方がいれば、ぜひ教えてもらえると嬉しいです。
まだ遊んでいない人へ
このシリーズをまだ遊んでいない方に、ひとつだけ言わせてください。
遊んでほしいです。
入り口は1作目でも2作目でも構いません。アニメから入るのも十分ありです。ただ、1か2から始めることをおすすめします。3から入っても話は追えますが、積み上がってきたものがあってこその感動なので、ぜひ順番に楽しんでほしい。
物語を読むのが好きな人なら、きっと合います。派手なアクションゲームではないので、そこだけ注意してください。

外伝と、シリーズ最終作について
外伝「モノクロームメビウス 刻ノ代贖」(シリーズ1.5にあたる作品)は遊んでいます。
本編3作に比べると物語としての厚みは物足りなかった。ただ、2作目に登場するキャラクターたちの若い頃が見られたのは良かった。本編への補足として、それなりの意味はありました。
そして今月末、「白への道標」が発売されます。シリーズ1.75にあたる新作であり、そしてシリーズ最終作と発表されています。
「刻ノ代贖」で拭いきれなかった物足りなさを、これが覆してくれるかもしれない。そしてこれが、このシリーズで最後に語られる物語になる。
詳細はファミ通の記事や公式トレーラーでご確認ください。
うたわれるものが終わる前に、間に合ってよかった。
© AQUAPLUS CO., LTD.
この記事で紹介したゲーム
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